白浜温泉はいい しかし白浜駅の到着ホームはお客の足を考えて   久保卓哉 


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 温泉はありがたい。白浜に行くたびそう思います。訪れたことがある人はみな、温泉のすばらしさを口にします。白浜駅は山の中にあって白浜温泉は海辺にある、と地理的な印象も強いようです。
 温泉は年齢に関係なく喜ばれますが、いちばん喜ぶのはお年寄りでしょう。老後の余生を楽しむ立場になると、「ゆっくり温泉にでもつかりたい」と誰もがそう思います。白浜温泉にはこうしたお年寄りがたくさん訪れます。
 この前の週末白浜駅でこんな風景に出あいました。くろしお号からぞろぞろと観光客が降りて来ます。白浜温泉にやってきたという期待感でわくわくしている表情です。小さな子どもは歓声をあげて走り出し、それを止める両親や祖父母もにこにこ顔。遅れて降りてきた足もとがおぼつかない老夫婦もにこにこ顔。しかし、それがやがて苦渋の表情に変わります。跨線橋を渡らなければならないからです。手には大きな荷物。なんどもよろけながら上がります。
 しばらく見ていると、大阪から到着する特急くろしお号の乗客は2つとも跨線橋をえっちらほっちら。それなのに近くの田辺から到着した各駅停車は改札口の真のホーム。なんという理不尽。列車が改札口のホームに着けば、遠来の客はすんなりと改札口を出ることができなければならないのに、これでは反対です。
 何とかならないものかと思い、白浜駅に問い合わせると、管轄は和歌山鉄道局、というので、電話で聞いてみました。鉄道局によると、発着ホームの変更は可能だとのこと。地元の要請があれば検討すると明言していました。
 情報化社会の今、マスコミに取りあげられるのが一番の宣伝です。「お年寄りのために発着ホームを変更」「駅員(町民)が荷物運びで歓迎」こんなことは全国で初めてでしょう。熊野古道が注目をあびる今、紀の国に行けば安らぎを与えてもらえそう、そういう期待がますますふくらむこと請け合いです。