加害者であることを忘れるな  久保勁甚
              朝日新聞 2007年8月 日
 


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久間前防衛大臣の発言を受け、被害者としての意見に世論がわいた。原爆の被爆者、遺族の方々が被害者であることには疑う余地はない。
しかし史実にてらし合わせると、日本は加害者である事は忘れてはならない。近隣の国々には計り知れない損害を与えた。
突然他国の軍隊が村を占領し、幼子の足をつかみ、小さな頭を木に叩きつけて殺されるのを目のあたりにしたとしたら、それが愛する自分の子どもや兄弟だとしたら。私の叔父が中国で聞いた、あまりにも悲しい戦下の話である。
事実を直視し、先ずは加害者として反省すべきではなかろうか。
 
 私は子どもが大好きで、保育士、幼稚園教諭をめざしています。ゆえに、この話を文章には出来ても、語ることはできません。悲しみで感情が高ぶり、ことばを発する事ができなくなるからです。そして、大変な事をしてしまったという強い反省の念がうまれました。  
 私は日本が大好きです。だからこそ、他国の人々からもすかれる国であってほしいと強く願います。そうなるためには、謝罪の裏付けとして、真に反省すべきだと考えます。